身に付けるべきは人間力
非正規から正社員へ戻ることはできるか
非正規の働き方を選んだ人は、正社員としての働き方に少なからず疑問を抱いての決断だったことでしょう。営業から経理まで全てを自分でこなし、自分の力を存分に発揮していくことができる非正規の仕事を始めた頃は、雇用という束縛からの開放感にあふれていたかもしれません。しかし、事業を始めた人の全てが思い通りに成功できるほど簡単ではないのが非正規の仕事です。
非正規のメリットとよく言われる「自由」は、好きな仕事だけをやりたい時にやればいいという意味ではありません。正社員にはない自由があることは確かですが、自由よりも優先すべきクライアントの存在があることにあらためて気づくという場合もあるでしょう。非正規だからこそできるフットワークの軽さで様々な仕事を経験できることは、IT技術者としての財産にはなりますが、場合によっては会社員の方が自由に見えることもあるでしょう。当初は二度と正社員には戻らないぐらいの覚悟で事業を始めたものの、様々な事情でもう一度会社員に戻ることを考えるようになる人もいます。そこで気になるのが、非正規から正社員には戻れるのかどうかということかもしれません。
非正規で培った「人間力」で勝負
非正規が正社員になるということは、転職活動を行うということです。一般的に、転職するなら年齢が若いほうが有利ですが、それは非正規からの転職も同じです。
採用担当者が懸念する可能性があるのが、会社員としての「人間力」です。一度は正社員の立場を捨てている人が、非正規でうまくいかなかったことを理由にまた正社員に戻ろうとしているということなら、働くということに対する考え方が甘い人かもしれないと思われる可能性があります。非正規になって成功する人ももちろんたくさんいますが、甘い考えで独立する人もたくさんいることを企業はよく知っているので、非正規からの転職を考えている人が面接に来れば、多少の疑いの目で見られてしまうのは仕方のないことです。しかし、非正規で経験しなければわからなかったこと、非正規だからこそ経験できたこと、さらに磨きをかけたスキルなどは、即戦力が欲しい企業にとって魅了的です。正社員になってからの人間関係を構築することや、選り好みをせずに仕事に取り組めるかどうかなど、懸念材料がうまく払拭できれば採用の道はあります。そのためには、非正規でやってきた仕事や学んだことを次にどう生かせるかを明確に説明できるようしっかり準備しておくことが重要です。
どんな経験も無駄になることはないので、自信を持って自分の強みをアピールしましょう。非正規をできるだけ長く続けたい気持ちと続けられない現実の間にいる時は、転職のタイミングに迷ってしまうかもしれませんが、先の見込みがあまり良いものでないならば早めに思いきった決断を下すことも大切です。